八幡図書館

   八幡図書館レファレンス事例


〔Q〕鳥居はなぜ赤いのですか?理由が知りたいです。

〔A〕鳥居の色については、『鳥居』という資料に最も詳しく記載されていました。以下がその引用です。
「稲荷の鳥居がなぜ赤いのかについては、これまでもさんざん取りざたされてきている。赤という色が破邪の呪力を秘めた特別な色だからとする色釈信仰派がいるかと思えば、塗料の鉛丹(光明丹)が防虫など木造鳥居の保存に効果的であるためとする現実派もある。また、さらには稲荷の初午祭の「午」が陰陽五行説で「赤」を意味することに由来するというまことしやかな説や、赤は雷の色であり、稲妻・稲光というごとく、雷が雨を呼んで稲穂を実らせるために倉稲魂命を祭神とする稲荷社では鳥居を赤く塗る、というなかなかうがった説にいたるまで、いずれももっともで判断に迷ってしまうが、筆者はそのどれもが後づけの理屈でしかないように思われる。八世紀初頭から神職は秦氏が務めていたといわれるように、伏見稲荷が元来、松尾大社や上賀茂・下鴨両神社などとともに渡来人の秦氏と深いかかわりのある神社であったことを考えると、たんに彼らが持ち込んだ大陸系の丹塗り建築に対する趣味が鳥居に反映しただけのこと、というあたりが意外に真実に近いのではないかと思われるのである。」
また、『知れば知るほど面白い!神道の本』には、「中国からの風習で、朱には厄除けや疫病除けの意味があり、鳥居だけでなく神社仏閣の建物などに使用されてきた。」とありました。 その他、『なんで水には色がないの? : 大人も知らない世の中の仕組み』によれば、「実は鳥居の色は「赤」と決まっているわけではありません。朱色の鳥居で有名なのは伏見稲荷大社をはじめとする稲荷社。全国に2万近くあり、もっとも数が多い神社なので「鳥居」=「赤」のイメージが強いのでしょう。朱色は魔力に対抗するとも、豊穣をあらわすともされている色。また朱の原材料は水銀で木材の防腐剤として使われてきた、という背景もあります。ですが、朱色以外の鳥居ももちろんあって、伊勢神宮や出雲大社は白色(というか木の色)ですし、最近のコンクリート製の鳥居などはそのままの色です。」とあり、神社の系統によっては赤い色が使われていないということもわかりました。 上記の資料以外では、『なぜ?どうして?ものしりクイズ1100問!』や、『イチから知りたい!神道の本』にも理由が載っていました。

◎参考資料
・『鳥居』 谷田博幸/著 河出書房新社 2014年 <175.5/タ > (160頁)
・『知れば知るほど面白い!神道の本』 三橋健/著 西東社 2011年 <170/ミ> (69頁)
・『なんで水には色がないの? 大人も知らない世の中の仕組み』 五百田達成/著 文響社 2014年 <049/イ> (55〜59頁)
・『なぜ?どうして?ものしりクイズ1100問!』 羽手名ただし/作 西東社 2011年 <031/ハ>(186〜189頁)
・『イチから知りたい!神道の本』 三橋健/著 西東社 2013年 <170/ミ> (67頁)