〔Q〕「名無しの権兵衛」という言葉がありますが、その語源はなんですか?
〔A〕『日本国語大辞典 第10巻 な-はわん』には、「名無しの権兵衛」とは、「名のわからない人を
呼ぶのに、ふざけたり、あざけったりしていう語。田舎の人に権兵衛という名が多いところから呼んだと
も、「名主の権兵衛」をもじったものともいう。」と書かれています。
また、『たのしい雑学読本』にはその語源についてさらに詳しい説明があり、「名前の通ってない人
のことを「名なしの権兵衛」というが、権兵衛という名があるのにどうして「名なし」なのかと思ったこ
とはないだろうか。国語学者の金田一春彦氏によると、これはただの勘違いからなのだそうだ。「山王の
お猿さん」という昔のわらべ歌に「『名主』の権兵衛さん」という歌詞があるが、これを子供が「名なし」
といい間違えて歌っているうちに「名なし」になったというのだ。」とありました。
その他、『「言葉のルーツ」おもしろ雑学』『童謡・唱歌の世界』『わらべうた 日本の伝承童謡』にも同様の説明が載っていました。
◎参考資料
・『日本国語大辞典 第10巻 な-はわん』 小学館国語辞典編集部/編集 小学館 2001年 <R813.1/シ/10> (200頁)
・『たのしい雑学読本』 坪内忠太/編著 新講社 2007年 <049/ツ> (185頁)
・『「言葉のルーツ」おもしろ雑学』 エンサイクロネット/著 PHP研究所 2001年 <G812/エ> (211頁)
・『童謡・唱歌の世界』 金田一春彦/著 主婦の友社 1978年 <767/キ> (128、129頁)
・『わらべうた 日本の伝承童謡』 町田嘉章/編 岩波書店 1983年 <767/マ> (34、35頁)